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事例:ルシアンとのイベントレポート『「Quilts1989 / 100ネエサン」特別ワークショップ』

2018.08.02 | 活動実績, ニュース・トピックス

 

2018年6月22 日、代官山にあるLECIEN CREATIVE SPACEにて、『「Quilts1989 / 100ネエサン」特別ワークショップ』を開催。ワークショップの内容は、手芸作家の中島一恵さんが手がけるブランド「Quilts1989 / 100ネエサン」のデザインによる数多の女の子がプリントされたモノクロの布地から、参加者が好みの女の子=「ネエサン」を一人選び、そこに自由に刺繍を施して、最終的にチャームに仕上げるというものです。インナー/アウターウェアから手芸用品・レース素材の製造販売まで幅広い事業を手がけるルシアンと「antenna* 」のコラボ企画です。

 

 

会場となったLECIEN CREATIVE SPACEは、普段フリースペースとなっている建物の1室を、偶数月に3日間だけ貸し切って展開される、手芸雑貨店です。通常オンラインショップでの販売のみになっているルシアンの手芸用品に関する、アンテナショップ的な役割も担っています。手芸用品の購入者に実際に手芸の作業を行える併設のフリースペースもあります。

今回のワークショップでは「Quilts1989 / 100ネエサン」の企画、デザインをした中島一恵氏を講師に招き、日頃刺繍などにあまり触れたことのない人に向けても手芸の親しみやすさや楽しさの体験提供の場となりました。

 

 

講師の中島一恵先生は、主婦業の傍らでキルトデザイナーとの出会いにより手芸に目覚め、作家となって作品発表を行っています。今回のワークショップの要ともなる彼女のブランド「Quilts1989 / 100ネエサン」は、150色の無地の色にそれぞれの色を担当する女の子のキャラクターを当てはめるところから着想を得て、展開されています。

 

 

モノクロのプリント生地に描かれた女性たちは、各々異なるポーズを取っており、彼女たちに自由な刺繍を行う上で、持ち物を持たせやすかったり、アクセサリー小物などのお洒落をさせやすかったり、といった特徴を備えています。

 

 

早速、参加者各自の机の上にあらかじめ用意された手芸材料および道具を使って、チャーム作りを開始します。

 

 

まずは、参加者それぞれが気に入った「ネエサン」を席に置かれたプリント布地の中からひとり選びます。そしてその「ネエサン」のプリントが中心にくるように、木製の丸型刺繍枠で布地を固定していきます。

 

 

次に、色とりどりの糸の中から好みの色を選び、指先から肘までくらい(=約30cm)の長さでカットします。

 

 

6本取りになっている刺繍糸の中から、実際に使う糸は2本のみです。6本のまとまった糸の束の中から1本ずつ、丁寧に糸を抜き取っていき、その後こよらずにストレートのまま、2本合わせて持ちます。そして糸の先端の方を針に横向きに引っ掛け、親指と人差し指でグッと抑えて折り目をつけます。そのままその折り目を利用して、針穴に糸を通していきます。

 

 

最後は、玉結びです。今度は針穴に通した糸の末尾の方を持ち、糸上に針先を置き、くるくると糸を2回巻きつけたのちに、糸を抑えながら針を引っ張り出します。すると、位置の安定した玉結びができます。これで、刺繍の前準備は終了です。

本来、刺繍は玉結びをあまりしないものだといいますが、100ネエサンのワークの場合は布の裏側で糸がこんがらがらないよう、敢えて玉結びを多く用いるやり方を採用しているとのことです。

 

 

 

そこからは、好みの100ネエサンのデザインサンプルとにらめっこしながら、自分の感性の赴くままに刺繍を進めていきます。

自分が刺繍を行いたい形に合わせてチャコペンで枠組みを描いてイメージ下絵を施したり、あるいは布用のペンで糸を用いずに塗りつぶしを行って色付けしたりと、自由なイマジネーションでデザインの幅を広げていきます。

刺繍にも様々な技法があり、自分の選んだネエサンに施したい洋服等のデザインによって、用いる技法が変わっていきます。

 

 

たとえば、このネエサンのワンピースボタン部に使われているのは「フレンチナッツ(※フレンチノット、とも呼ばれる)」という技法です。布の表面で玉留めを行うのを繰り返すような手法です。

スカートの裾部は、「ストレートステッチ」と呼ばれる技法で、縦に並んだ点線状の縫い方を繰り返していきます。

 

 

先の写真の右から2番目のネエサンの、布地が黄色のペンで塗りつぶされたワンピースの裾には、鎖が連なったような「チェーンステッチ」という技法が使われています。まず、糸を布表面に出してきたら、今度は針を糸の出どころと同じ穴に通し、布表面上の糸をゆるく残しておきます。次にちょっと進んだ部分の布表面に再び針先を出して、残した糸を引っ掛けるようにしながら縫い進めていくと、チェーンステッチができあがります。これを応用すると、花びらの形のような「レゼーデージーステッチ」という刺繍技法にもなります(※後半部分にて紹介しています)。

今回座席に配布した100ネエサンのパンフレットの下部には、こうした様々な刺繍技法についての説明も、図解でわかりやすくなされています。

 

 

今日を機に100ネエサンの刺繍の世界にはまっても、このパンフレットがあれば、自宅でも先生の言葉を思い出しつつ、楽しく自力で刺繍が進められそうです。

一方で、現場を体感できるワークショップの良さは、実際に作品を作ったり、サンプルを見たりすることを通して、色自体の味わいやその用い方の幅広さを実感とともに体験することができることです。これは、大きなポイントです。他の参加者の作品を見て、刺激を受けることもできます。

 

 

たとえば、こちらは参加者の方の作品です。黒字にショッキングピンクという色使いの映え具合が美しく、極め付けにアクセサリーとなっているピアス・ネックレス・ブレスレットの部分が、玉留め技法を多く用いて立体的になっているところが面白いです。こうした自分になかった発想を取り入れ、驚きや共感、教え合いを繰り返しながら参加者も先生も一体となって作業を楽しく進めていけるのも、ワークショップという場の良さです。

 

 

あるいは、こちらの作品のように、アクセサリーや靴下などのワンポイント部を、金色や銀色の光る糸「にしきいと」で飾り付けることによって、効果的なゴージャス感の演出ができるということもわかります。こういった糸の使い方も、実際に目で見て作品に触れることによって良さを知り、「この糸が欲しい」という体験者の購買意欲にも繋がっていきます。

また、こちらの作品では左から3番目・4番目のネエサンの洋服デザインに、先ほど触れた花びら型の「レゼーデージーステッチ」が用いられています。他にも、一番左のネエサンのワンピース裾の、ストレートステッチを生かした波々模様や、アウトラインステッチ・サテンステッチなどを生かして塗りつぶされたワンピースの縞模様にタイツや帽子、ランニングステッチを組み合わせて施された格子模様などが作品中に見られ、まさにデザインサンプルの宝庫のような仕上がりとなっています。

 

 

そして、気に入ったネエサンが無事に縫い上がったら、続いてチャーム作りの工程に移っていきます。上の写真は、レゼーデージーステッチによる花びら模様とサテンステッチによる塗りつぶしが強いデザイン効果を放つ、他の参加者の方によるファッショナブルな作品です。

まず、ネエサンの周囲を大まかに1cmほどの余裕を持ちつつ、楕円形に切り抜いていきます。切り抜いたら、裏布専用の布地に切り抜いたネエサンをあてがい、同じ形の楕円ができるように切り抜いていきます。

 

 

 

続いて、ネエサンの周りをざっくりと、最上部にわたをあとから詰める分のスペースを残しながら、ランニングステッチにて点線状にラフに縫い合わせていきます。

 

 

最後に縫い合わせた布の上部のスペースから、太い楊枝のような木製棒を使って最下部までわたを押し込みながら詰めていき、

 

 

チャームをつけるためのサテンリボンを縫い合わせながらわた詰めのために空けていたスペースを縫い切り、好みの形に整えたら、

 

 

 

好きな色の羽素材と合わせたチャームをつけて、いよいよ完成です。

 

 

 

袋に入れると、まるでキュートな商品のようです。

 

 

 

 

参加者の方々は、完成したチャームを手に、皆さんとても嬉しそうな、いい表情をしていました。チャームの元となったネエサンは、様々なポーズをしているので、それに合わせたポーズで記念撮影をしている方もいました。

 

 

 

 

 

「LECIEN CREATIVE SPACEというのは、普段はこちらでお買い上げいただいた商品を使って、刺繍糸使い放題・道具貸し出し有りで、併設のフリースペースで作業をしていただける、という販売&フリースペース展開による店舗の形を取っています。けれど、それだと元々結構手芸をやられている方や、こちらのことも含め手芸をある程度よく知っている方しか集まらない。顧客層の拡大という意味合いも含めて、普段あまり手芸を行う習慣のない方々や、体験をしたことがない、という方々にも、手芸の楽しさを知ってもらいたい、私たちのことを知ってもらいたい、というのが今回の企画意図ですね」

 

髙木由美子さん(ルシアン)

 

「普段のフリースペース形式ですと、いらしていただけた方々にとってはひとりで黙々と作業する、という楽しみもあるのでしょうが、ワークショップの場合は、みんなでワイワイ見せながらやる、楽しみながらできるというところがまた違った良さかなと思っています。隣り合った方同士が、その場でちょっとした先生・生徒のような役割を果たしたり、デザイン上でも刺激を与え合ったり。「100ネエサン」は特に、参加者の方々それぞれの味が出て、オリジナリティ豊かな作品が出来上がるんです。そこも交流するのに面白いポイントでした」

 

 

 

北見裕介(antenna* )

 

「今回のコラボレーションは、実は、キュレーションアプリのantenna* が4月からマガジン『暮らしを彩る小物たち』というものをスタートしていたのがきっかけです。手芸など、日常を彩ってくれる、毎日をより良くしてくれるちょっとした小物たちを紹介する特集ですが、そのスピンオフ企画です。antenna* の普段の活動の延長線上として、スマホの画面を超えて、今回のワークショップのようなリアルな体験を実施していくというのは面白いと思っています」

「スマホ時代には、『私だけが知っている』『私だけが行っている』というところに価値を見出す時代なのではないか、そこにヒントがあるのではないかと思っています。

antenna* では、新たな出会いや気づきをユーザーの方に与えることができる機会がつくれたらと思っているんです。情報を楽に早く見つけられる、ということに特化した時代だからこそ、敢えて時間を使う、少人数でもこうした部活のようなコミュニティのような場の提供には価値が生まれると思っています」

 

 

今回のワークショップでは、刺繍未経験者と、様々な作品を既に作ってきた経験値豊富な参加者の方々とが混ざり合い、交流しあって、互いに技術や新しいデザインへの発想など「足りないもの」「新しきもの」を埋め合いアイデアを交換し合うことができました。

 

現在、ルシアンでは462色にも及ぶ単色糸と、140種類に渡るグラデーション色糸、33色のラメ糸の取り扱いがあります。目の前のネエサンから得られる自由な発想に身を任せ、カラフルで無限大の可能性を持つ糸たちを用いた素敵なデザインを頭に描きながら、ひと針ひと針と縫い進めていく時間に思いを馳せれば、それだけで胸が高鳴ります。イベントマーケティング編集部の本田さんは「未経験者の私が、この2時間余りの短時間で、初めてにしてこれだけ刺繍を『楽しい』と思えるほど没頭できたということが、刺繍という世界と、ワークショップの交流が素晴らしかったことの証拠」と最後に感想を述べられていました。

 

 

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